鏡の森

地獄を生き延びたワケありエンジニアによる手記

年齢だけを重ねた哀れな生き物

 

薬をやめて正気をとりもどしたと思ったらすでに27歳。

 

思えば自分には何かに打ち込んだ記憶や成し遂げた記憶がなにもない。

 

ふつうなら学生の頃に部活動に打ち込んだり、あるいは勉強に励んだりしたのではないだろうか。

それとも友達と放課後にカラオケに行ったり、彼女とイチャイチャしたり…

 

そのような思い出を持ってない自分にとって、まわりの人が過去の思い出話を懐かしげに語るのはとてもうらやましく、同時に自己嫌悪に陥る。

 

その過去の経験が直接的に今と関わってるわけではなくとも、そういったある種の回り道というものが人生というものを豊かにしてくれるものだと思う。

 

夜の街灯に照らされる桜を見て人はなにを思うのか。

 

年齢を重ねれば重ねるほど思い出というものは増えていく。

 

過ぎていった春の季節を数え、その頃の自分に思いを巡らせるのではなかろうか。

 

今までほとんどの季節を寝たきりで過ごした自分にとって、夜桜を見て思い出せる経験は少ない。

 

思い出を重ねずに年齢だけを重ねてしまった滑稽な生き物が自分なのだろうか。

 

このごろ、少しずつ好きなもの・好きなことが増えてきた。

 

お気に入りのもの・ことに囲まれて過ごす時間は楽しい。

 

そしてそれに気づいたのはつい最近のことなのだ。

 

自分はいま27歳。

 

同世代にはすでに結婚し子供をもうけた人もいる。

 

結婚相手に出会う前には他の恋人とのさまざまなロマンスがあったのだろうか。

 

高校、大学、そして社会人とさまざまなイベントのたびに新しい思い出を積み重ねてきたのだろうと思う。

 

そういう想像をするたびに、なにももっていない・なにも知らない自分が恥ずかしくなる。

 

…書くことで気が晴れるかと思ったけどそうでもないみたいだ。

 

傷口を抉っているだけかもしれない。

 

メランコリックな夜になってしまった。